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2008/01/04

中央競馬の馬券師、園田に散る・・・

 「金杯で乾杯!」は競馬ファンおなじみの年始の文句。これが多くの場合「完敗」になるのだから悲しい。こんなおやじギャグのオチにならないように、今年はなんとかしたい。
 昨年は公私ともに忙しくてじっくり馬券検討する間もなく、とりあえず朝PATで馬券を買って、夜遅くVTRで競馬を観戦した一年となった。年中競馬場にいて、パドック中継のときなどはたびたびテレビにちらっと映っていた私だが、昨年は3回しか競馬場にも行けなかった。競馬仲間との情報交換も途切れがちで、「あいつはもう競馬やめたのでは?(負けすぎて)」という不穏な噂まで流れたほどだ。
 もちろん私が競馬に背を向けることなど有り得ない。忙しくても馬への愛は不変。そしてどんなに負けても、外れても、それがフツーの状態なのだから、どうってことなし。たま~に当たるあの瞬間が、しびれるほどに嬉しいのよ!!
 ところが昨年はなぜか絶好調。一年を通じてというわけではないけれど、夏場から調子を上げて(これは例年のことだが)、苦手のアイビスサマーダッシュでサンアディウを軸に万馬券をゲットしたのを皮切りに(後にサンアディウは芝短距離のエースとなる)、コンスタントに当たりを出し、夏~秋の膨大な「飲み代」を馬が全部払ってくれたのだ。
 そして秋冬にはさらなるサプライズが待ち受けていた。天皇賞(アグネスアーク軸)、JCダート(フィールドルージュ軸)、ジュベナイルフリィーズ(トールポピー軸)、鳴尾記念(ハイアーゲーム軸)と勝ち続け、年末の有馬記念もマツリダゴッホを軸に馬連で的中し、続く中京最終の尾張ステークスでトールハンマーを軸に大万馬券をしとめ、2007年の競馬を締めくくったのである。
 好調の理由は、じっくり考えるヒマがなかったこと。穴馬を買うためにはじっくり考える時間などないほうがいいのかもしれない。考えれば考えるほど、「こんなのくるわけないしね~」となってしまうからだ。
 とはいえ、そうして選んだ穴馬にも、それなりの根拠があり、その読みが当たっていたことに私は大変気分を良くしているのである。このブログは競馬サイトではないためその理由についての長ったらしい「論述」は避けるが、ともあれ、私は一挙に「中央競馬炎の馬券師」になったような気分になったのだった。

 私の快挙を知る身近な友人が、有馬も終わり、金杯までのさみしい休暇中、「競馬つれてってよ」と言い出した。競馬などまったく知らないこの友人が、中央競馬が金杯の日までないことなど知るはずもない。ならば地方競馬に、ということで、年末二人で園田競馬場へ行くこととなった。
 私は「中央競馬の馬券師」として、競馬に無知な友人に様々なことを教え、専門紙を買って研究し、狙えそうな馬とそうでない馬とを事細かにレクチャーした。Pepiteさんと来てよかった!と思ってもらいたかったし、なによりも、格の違いをみせつけたかったのだ。
 ところが!ありがちなことではあるが、私が長年つちかってきた予想理論と競馬における直感とを駆使して選んだ馬たちは凡走し、そしてこれぞ隠れた実力馬と思われた人気薄は人気通りの着順に収まり、私は面子を失いかけていた。「あの子、目がかわいい~」という適当な理由で友人が選んだ馬ばかりが激走し、友人は勝ちまくり、私は1勝、しかも唯一の当たり馬券は2倍台のガチガチ。これではしめしがつかないと焦る私の口から漏れる言い訳の数々を、連勝で舞い上がった友人はもう聞いていなかった。パドック行こうよ~!と、私の手を引き、さらに勝ち馬を見つけ続けるのだった(神秘的な基準で)・・・・。
 こうなったら一発大逆転しかない!私はメインレースで密かに大勝負に出たのだった。
 パドックで、「あの子と目が合った!」と喜び、その馬のゼッケンを確認してマークシートを塗りつぶす友人。ああ、競馬はそんなに甘いものじゃないぜ!ここで本物の馬券師の腕を見せてあげよう!と、距離適正、馬場適性、そしてタイム、馬体の仕上がり具合からみて私は一頭の馬を選び出した。ほぼ完璧と思われる予想の末馬券を買った私は、内心ほくそえんでいた。
 レースが始まり、私の本命馬は4番手を進む。絶好の位置取り。勝負どころで前をとらえ・・・なのに、私の弾む胸とは裏腹に、一向に前をとらえる気配がない。「ちょっと、早く行ってよ!!直線短いんだよ~、(ここで馬の名前を叫ぼうとしたが、思い出せず、番号を連呼した)、行け!行け!私の有馬の儲けはどうなるのよ~~」・・・・私の悲鳴に応えることなく、本命馬は4番手のまま、前とは絶望的な距離を保ち続けてゴールしたのであった。
 次の瞬間、「また当たった~~!!」と歓喜の叫び声が私のとなりであがった。

 「馬を番号で呼んだことなんてないよ」と、私は言う。「中央競馬の馬なら、少なくともオープン馬なら、知らない名前なんてないしね」と、慣れ親しんだ中央なら、決してこんな結果にはならなかっただろうということを、私は暗にほのめかした。
 しかしそんなほのめかしは友人に何の影響も与えなかった。「走る馬は目を見たらわかるの。キラキラした目の子ばかりが今日は走ったんだから!」と、その恐るべき的中率を誇る予想の秘密を教えてくれたのだった。
 傷ついたプライドと軽くなった財布にふさぎこんだ私を、師走の凍てつく寒さが襲う。かくして中央競馬の馬券師は園田に散ったのであった。
 戦いは終わり、無口な私とは対照的な友人は、競馬によって知った嬉しい興奮とその報酬に酔いしれていた。普段は行かない高級なすし屋に入り、友人は園田での喜びを、私はかつて栄光をつかんだ数々のレースの思い出話を(毎度おなじみの)繰り返し、その後のあっと驚く会計は、馬券師の威厳を保つため、悲しくも私が引き受けたのだった・・・・。

 金杯当てるぞ~!!

 皆様にとって2008年が良い年でありますように。
 今年もよろしくお願いします。

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