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2006/09/10

Pepiteの美的な日々:アフタヌーンティー

Pc311180_  先日、私の友人の中でもとりわけ美人の女の子(左の写真)と、フランス風の洒落たティーサロンでデートした。この日友人は、アルバイトの面接を終えてやって来たのだが、その面接というのが、彼女が想像していたよりもずっと厳しいものだったらしく、採用までには3段階のテストや面接があり、生き残るためには相当の適正が要求されるということだった。
 仕事の内容は、某有名デパートの電話受電業務。デパート内のオフィスで、顧客から架かってくる電話に応対するというもの。知的で、何でもそつなくこなし、かつ受電業務での経験も豊富(しかも美声!)な彼女は、きっと合格すると思うのだけど、それにしても3段階のステップって、アルバイトにしては厳しすぎない?
 ともあれ、私たちはテイスティーな紅茶を味わいながら(そして私のほうは紅茶とともに彼女の美貌を楽しみながら)、このアルバイトについてあれこれと語り合った。
 この受電ルームは外との接触が遮断された窓もないところで、その中に女性ばかりが(人数は不明)働いているとのこと。お客様への電話案内の例などを、実にかわいらしく彼女が説明してくれている間、私はうっとりとその女神のような美しさに見惚れ、彼女の話をいくつも聞き逃していたのでした。
 彼女が面接のときにもらった求人パンフレットのようなものを取り出して、何か言い出した時、私の目はふとそこに記された「業務」の項目の<インフォメーション>という文字を見出し、釘付けになった。
 彼女の話をさえぎるような格好で「これは何?」とたずねると、「デパートのインフォメーションのお姉さんでしょ」と、我が女神は答えた。

 カチッとした帽子を被り(雅子様が被っているような感じの)、制服の胸元にはシックなスカーフをあしらって、姿勢正しく笑顔でお客様の問いかけに答える彼女の姿がただちに私の脳裏に浮かんだ。これぞ、これぞ!適職ではないか!!(と、私は心の中で叫び声を上げた!)
 窓もないような閉ざされた女ばかりの部屋で、たとえ仕事とはいえ、長い時間を過ごさねばならないなんて、およそ彼女には似合いはしない。彼女はどう考えても、鑑賞向きのひと。同じ案内業務なら、電話ではなく、その美を人目にさらすインフォメーションのお姉さんで、どうして悪いことがあるだろう!ともすれば、素敵な男性がいつの日か、彼女の魅惑的な美しさに目をとめないとも限らないだろう!
 この時点で、彼女がこと細かく説明してくれていた電話案内業務のことは私の中ですでに、きれいさっぱり消え去っていた。
 「あたし、この電話の仕事、採用されるかなあ・・・」と、少しばかり不安げに言う彼女を無視して、「突然だけど、それはもうどうでもいいんだよ。もちろん採用されるだろうけど、あなたはむしろ、インフォメーションのお姉さんにならなければいけない。そうなるために生まれてきたとは言わないけれど、少なくともこの場合はそのほうが理にかなっているはずだよ。なぜなら・・・・・・」と、熱っぽく説明を続ける私を、彼女は私がこんな口調で語りだすときにはいつもそうするように、いたずらっぽい目で見つめ、笑いをこらえたような表情でおとなしく聞いているのだった。
 私の判定では、彼女が望みさえすれば、この職を得ることができるのは間違いなかった。なんといっても彼女の容姿はそういった職業にうってつけ。すらりとした立ち姿、高級感のある美しい顔立ち、美声、ひとつひとつの仕草がとても優美で、しかもその感じの良さが常に同性に高く評価されていることからも、彼女の好感度の質がうかがわれるというものだ。もちろん能力という面でも、彼女が以前に勤めていた会社では、かなり複雑な仕事であるにもかかわらず、トップクラスの成績を誇っていたことを私は知っている。
 ともあれ、これで採用は決まったようなものだった。というか、私の中では決まった。彼女を説き伏せ、細々としたことまで話し合ううちに、その適正がますます明らかになり、あとは、現実に彼女がどんな制服を身に着けてインフォメーションカウンターに立つのかということだけが問題だった。
 
 善は急げ!ということで、さっそくそのデパートへ見学に出掛けた。積極的に急ぐ私の足取りに遅れをとりがちな女神を従えて、私は期待に大きく胸を膨らませ、ドキドキしながらインフォメーションカウンターにたどり着いたのだったが・・・・

 ありゃ?!・・・・・これは何? これでいいのかしら? 私と女神がそこに見たものは、それまでに語り合った(私が語った)予想図とはかけ離れた光景だった。この色にこの色かよ~と唖然とする悪趣味な組み合わせの服、そして、女神の美を損なうことにしか役立ちそうにないへんてこな帽子・・・・
 「あたし、あのスタイルはちょっと無理かな」と、彼女はつぶやいた。もちろんそうだろう。ちょっとどころか、それは絶対に無理な相談だった。
 私の落胆をやさしく気遣う女神・・・(まるで一生懸命職探しをしている友人を励ますような感じで)。けれどもあきらめきれない私は、別の同じく大手デパートなら、これよりはマシなスタイルが期待できるはずだと主張して、彼女の手を引いた。
 「でも、あたし先月末に買い物でそこに行ったんだけど、全然良くなかったよ」と、遠慮がちに言う未来のインフォメーションレディー。
 「その時はそうだったかもしれないけど、9月になって、衣替えしてるはずだよ。秋をイメージしたシックな装いになってるかもしれないじゃない」と言い張る私。
 私の言った通り、確かにその装いは変わっていた。ただし、悪いほうに・・・・

 この繁華街には三つの大手デパートが並んでいて、私の執念から、そのうち最もこうした観点からは期待薄だった3件目を訪れた私たちは、そこのインフォメーションカウンターを前にして、もはや何も語り合うことはなかった・・・・。
 私たちはまるで何事もなかったかのようにその場を立ち去り、私の急な思いつきによって中断されたアフタヌーンティーのなごやかな時間を取り戻すために、今度はアメリカ風のカフェに向かった。
 彼女は何か甘ったるい飲み物を注文した。大人の私は苦いコーヒーを口にして、つい今しがたのさらに苦い思い出には言及せずに、陽気に日常の出来事を語る女神のかわいらしい仕草や口調に心を傾けた。同時に傾きかけた太陽の位置から、もうじき彼女にお別れをする時刻が迫っていることを、私はせつない思いで知らされるのだった。

追伸 : 女神様、私を相手に、美味なる高級な紅茶を味わう、ゆったりとした時を過ごそうというあなたの計画に対して、私は突然のプランで、その午後をめちゃくちゃにしてしまってごめんなさい。そして読者の皆様、素敵な制服のデパートや百貨店を発見したら、是非ともすぐに!お知らせください!(まだあきらめてない!!)

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コメント

とても美しい方でいらっしゃるのね うふふ
彼女がどのようなキャリアをお積みになりたいかは
ワタクシにはわかりませんけれど、もし
受付嬢で ということでしたら、派遣という手も
ございますわよ。

投稿: dekako | 2006/09/10 09:52

Pepiteさん こんばんは!(o^∀^o)ノ

アルバイトの面接にしては厳しいですねー!
ビックリです!!
とっても美しい方なんですね~!
美しい上に美声なんてとっても羨ましいです(*^_^*)
でも、今時どこの制服も可愛い所が多そうなのにそうでもないのかな?・・・(^^;)

投稿: ファズ | 2006/09/10 23:19

>dekako様

アドバイスありがとうございます。
その方面もあたってみることしますよ。
しかし私の予想通り、
彼女は電話の仕事の面接に合格したとのこと。
これで事態は複雑になってしまいました(笑)


>ファズさん

そうなんです、とてもきれいな女の子です。
私もこんなふうに生まれついていれば、
もっと違った(違いすぎる)人生だっただろうと、
いつも羨んでおります。
この頃ではどこの制服もかわいいっていうイメージが私にもありましたが、
今回ははずれでした。
店の名前はあげませんでしたけど、
地理的な条件から、ファズさんにはわかるでしょうね~。

投稿: Pepite | 2006/09/11 10:49

最近ではどんな仕事でも結構厳しいみたいですね。
美容部員すら専門学校があるぐらいで、狭き門とは驚きです。昔なら誰でも応募すれば入れたのに。w

ところで女神さんは合格されたのでしょうか?
お綺麗な方なら電話受付じゃなくて、表の仕事がいいですよね。
電話じゃ声しかわからないしね。

電話の仕事といえば前にTVで見たのですが、63歳歳の女性がテレフォンクラブのバイトに応募したそうです。
その方は20代の女性だと思うほどかわいい声なんですよ。
結局絶対に相手に会わないようにと言うことを念を押され、めでたく採用。

バイトを初めて1ヶ月後には、なんと閉経して10年以上経っていたのに突然また始まったそうです!!
それ以来順調にあるそうです。
女性ホルモンって神秘ですね。w
私は声が低いので到底無理ですが、高齢になってホルモンが減少してきたら、若返りに最高の仕事かも♪

またまた話が脱線して、美しいコラムなのに変な話でスイマセン。w
私もたまにブログ書いているので、覗いてみてね。


投稿: Diane | 2006/09/11 12:18

>Diane様

大変興味深いコメント、ありがとうございます。
そう言われればそうですね、逆のパターンもありますね。
声しか相手に伝わらない電話なら、場合によってはそのようなことも可能でしょうね。
う~ん、なんだか妙に感心しました。
記事的にはこちらの話のほうが奥深いですね。
対照的な例をあげてくださって、嬉しく思います。
私の記事とDiane様のコメントをセットにして皆様に読んでいただきたいものです。

記事の友人はこの面接に合格し、今次のステップを踏んでおります。
おそらく長ったらしい研修などがあり、実際に仕事に就くのはもう少し先になると思われますが。
おせっかいな私に振り回されて、彼女も苦笑いというところでしょう!

投稿: Pepite | 2006/09/11 22:25

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