« 2006年8月 | トップページ | 2006年10月 »

2006/09/19

Pepiteの美的な日々:出番なし

 最近仲良しになったかわいい女の子のたえちゃんと、先日京都へ行った。彼女は私のブログの生真面目な読者で、とりわけ「悲劇のコレクション」の記事について、あれこれと私が思いもしなかった感想を聞かせてくれたり、「あの本買いましたよ」と、嬉しいことを言ってくれたりする。学生時代は心理学を勉強していたというだけあって、知的な話題にも事欠かず、正確な日本語で、興味深い話を聞かせてくれるなかなか利発な女の子だ。
 そんなたえちゃんが、ある日、何かの話の折に、京都の石庭を見てみたいと言い出した。親切な私は、「それなら有名な竜安寺なんかはどう?」と提案し、京都はあまり知らないという彼女のガイド役を引き受けて(というか、強引にその役におさまって)、小さな妖精さん(小柄で、めちゃくちゃかわいいんです)を伴って、出掛けることになったのだ。

Img_1978 「Pepite さん、私お寺のこととか何も知らないので、いろいろ教えてくださいね」と、かわいらしく言われた日にゃ、もちろんワタクシ、大いに張り切りますよ!!
 「大丈夫、私はその手のことに詳しいから。あなたにはちょっと退屈な説明になるかもしれないけど、なるべくわかりやすく教えてあげるからね」と、やさしく答えるのであった。
 その手のことに詳しくない私は、急いで準備にとりかかった。基礎知識を詰め込み、それが澱みなくすらすら口から流れ出るように練習を重ね、万全を期して「禅入門」の本を読んでおいた。そしてそこから、かっこいいところだけを抜粋して、竜安寺の石庭を前に、私が静かな口調で妖精に語りかける言葉の中にほどよく取り入れた。
 こうして私の「解説」は何かを付け加えたり、あるいは削ったりしながら改良を重ね、 完全な態勢を整えた。「Pepite さんって、本当に何でもよく知ってるんですね。一緒に来てよかった」と、妖精は私を見上げて言うだろう! 「素敵ですね」と言い添えるかもしれない。いや、言わないにしろ(言ってほしいが)、きっとそう思うだろう!

 そして本番。竜安寺の石庭を前に並んで腰掛けた私たち。静寂の中で石群の構成する美を鑑賞し、いまや私が効果的な口調で練習を重ねたセリフを語り始めようとしたまさにその時! 私の努力と思惑のすべてをぶち壊す悲劇に見舞われたのだった・・・・

「みなさま、これより竜安寺のご紹介をいたしますので、しばらくの間静かにお聞きください」
 振り向くと、ツアー客を引き連れた定期観光バスガイドの女性が立っていた。
ひえ~っ、やめて~!!

 私の心の悲鳴もむなしく、おせっかいなガイドが語り始めたのだった。
Img_1974_ 「この竜安寺は、宝徳2年に徳大寺家の別荘を譲り受けた細川勝元が・・・・・みなさまご覧の石は左から順に数えますと・・・・・というふうにどこから眺めても必ず見えない石があるような設計に・・・・・また見る人によってはこの石群の造形を雲海と感じたり・・・・・禅の思想とのつながりなど、様々な解釈が・・・・・・起伏をつけることによって流れを表し、遠近法を用いているわけです・・・・・(等等)・・・・・・」
 果てしなく続くガイドの解説に蒼ざめる私の横には、その説明にいちいち感心し、ガイドが指差す方を眺めて、小さくうなずいたりするかわいい妖精の姿があった。

 こうして何もかもをめちゃくちゃにしたその一行が去って行くと、「たまたまツアーの人たちと一緒になって、説明が聞けてよかったね」と、私の隣で小妖精が嬉しそうにつぶやいた・・・・・・。


                          ※

Img_1993__1  たえちゃんを連れて、夕暮れの円山公園を散歩。この公園の池には気になる鳥がいる。何の種類だろうと、前から疑問に思っていたのだが、それがつい最近、私の友人フォトコのブログ「気ままなPhoto Diary」で判明した。バリケンという名のその鳥をたえちゃんに教えてあげようと、出掛けて行ったのだ。
「わ~、変な鳥さんだね!」とはしゃぐ妖精があまりにもかわいくて、ぶさいくな容姿のバリケンの写真を撮り忘れた私。(鳥の写真はフォトコのブログで見てください)。
 「さあ、今度はもう少し右に寄ってこっちを(レンズを)見て」とか、「たえちゃんの後ろにあの花が入るようにしたいから向こうまで歩こうよ」などなど言って、シャッターを押しまくる幻の京都(竜安寺)案内人にうんざりした様子のニンフェットは、「まだ撮るの?」と、次第に不機嫌な表情に・・・・・
 あわてた私は視界の隅にあった売店を指差して、「アイスクリーム買ってあげようか?」と、まるで小さな女の子に言うような口調でやさしく問いかけた。
 なのにわがままな妖精は、 「ううん、今はいらない」と、冷たく答えて歩調を速めるのだった・・・・。

結論: Pepite 出番なし 

 
 

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2006/09/10

Pepiteの美的な日々:アフタヌーンティー

Pc311180_  先日、私の友人の中でもとりわけ美人の女の子(左の写真)と、フランス風の洒落たティーサロンでデートした。この日友人は、アルバイトの面接を終えてやって来たのだが、その面接というのが、彼女が想像していたよりもずっと厳しいものだったらしく、採用までには3段階のテストや面接があり、生き残るためには相当の適正が要求されるということだった。
 仕事の内容は、某有名デパートの電話受電業務。デパート内のオフィスで、顧客から架かってくる電話に応対するというもの。知的で、何でもそつなくこなし、かつ受電業務での経験も豊富(しかも美声!)な彼女は、きっと合格すると思うのだけど、それにしても3段階のステップって、アルバイトにしては厳しすぎない?
 ともあれ、私たちはテイスティーな紅茶を味わいながら(そして私のほうは紅茶とともに彼女の美貌を楽しみながら)、このアルバイトについてあれこれと語り合った。
 この受電ルームは外との接触が遮断された窓もないところで、その中に女性ばかりが(人数は不明)働いているとのこと。お客様への電話案内の例などを、実にかわいらしく彼女が説明してくれている間、私はうっとりとその女神のような美しさに見惚れ、彼女の話をいくつも聞き逃していたのでした。
 彼女が面接のときにもらった求人パンフレットのようなものを取り出して、何か言い出した時、私の目はふとそこに記された「業務」の項目の<インフォメーション>という文字を見出し、釘付けになった。
 彼女の話をさえぎるような格好で「これは何?」とたずねると、「デパートのインフォメーションのお姉さんでしょ」と、我が女神は答えた。

 カチッとした帽子を被り(雅子様が被っているような感じの)、制服の胸元にはシックなスカーフをあしらって、姿勢正しく笑顔でお客様の問いかけに答える彼女の姿がただちに私の脳裏に浮かんだ。これぞ、これぞ!適職ではないか!!(と、私は心の中で叫び声を上げた!)
 窓もないような閉ざされた女ばかりの部屋で、たとえ仕事とはいえ、長い時間を過ごさねばならないなんて、およそ彼女には似合いはしない。彼女はどう考えても、鑑賞向きのひと。同じ案内業務なら、電話ではなく、その美を人目にさらすインフォメーションのお姉さんで、どうして悪いことがあるだろう!ともすれば、素敵な男性がいつの日か、彼女の魅惑的な美しさに目をとめないとも限らないだろう!
 この時点で、彼女がこと細かく説明してくれていた電話案内業務のことは私の中ですでに、きれいさっぱり消え去っていた。
 「あたし、この電話の仕事、採用されるかなあ・・・」と、少しばかり不安げに言う彼女を無視して、「突然だけど、それはもうどうでもいいんだよ。もちろん採用されるだろうけど、あなたはむしろ、インフォメーションのお姉さんにならなければいけない。そうなるために生まれてきたとは言わないけれど、少なくともこの場合はそのほうが理にかなっているはずだよ。なぜなら・・・・・・」と、熱っぽく説明を続ける私を、彼女は私がこんな口調で語りだすときにはいつもそうするように、いたずらっぽい目で見つめ、笑いをこらえたような表情でおとなしく聞いているのだった。
 私の判定では、彼女が望みさえすれば、この職を得ることができるのは間違いなかった。なんといっても彼女の容姿はそういった職業にうってつけ。すらりとした立ち姿、高級感のある美しい顔立ち、美声、ひとつひとつの仕草がとても優美で、しかもその感じの良さが常に同性に高く評価されていることからも、彼女の好感度の質がうかがわれるというものだ。もちろん能力という面でも、彼女が以前に勤めていた会社では、かなり複雑な仕事であるにもかかわらず、トップクラスの成績を誇っていたことを私は知っている。
 ともあれ、これで採用は決まったようなものだった。というか、私の中では決まった。彼女を説き伏せ、細々としたことまで話し合ううちに、その適正がますます明らかになり、あとは、現実に彼女がどんな制服を身に着けてインフォメーションカウンターに立つのかということだけが問題だった。
 
 善は急げ!ということで、さっそくそのデパートへ見学に出掛けた。積極的に急ぐ私の足取りに遅れをとりがちな女神を従えて、私は期待に大きく胸を膨らませ、ドキドキしながらインフォメーションカウンターにたどり着いたのだったが・・・・

 ありゃ?!・・・・・これは何? これでいいのかしら? 私と女神がそこに見たものは、それまでに語り合った(私が語った)予想図とはかけ離れた光景だった。この色にこの色かよ~と唖然とする悪趣味な組み合わせの服、そして、女神の美を損なうことにしか役立ちそうにないへんてこな帽子・・・・
 「あたし、あのスタイルはちょっと無理かな」と、彼女はつぶやいた。もちろんそうだろう。ちょっとどころか、それは絶対に無理な相談だった。
 私の落胆をやさしく気遣う女神・・・(まるで一生懸命職探しをしている友人を励ますような感じで)。けれどもあきらめきれない私は、別の同じく大手デパートなら、これよりはマシなスタイルが期待できるはずだと主張して、彼女の手を引いた。
 「でも、あたし先月末に買い物でそこに行ったんだけど、全然良くなかったよ」と、遠慮がちに言う未来のインフォメーションレディー。
 「その時はそうだったかもしれないけど、9月になって、衣替えしてるはずだよ。秋をイメージしたシックな装いになってるかもしれないじゃない」と言い張る私。
 私の言った通り、確かにその装いは変わっていた。ただし、悪いほうに・・・・

 この繁華街には三つの大手デパートが並んでいて、私の執念から、そのうち最もこうした観点からは期待薄だった3件目を訪れた私たちは、そこのインフォメーションカウンターを前にして、もはや何も語り合うことはなかった・・・・。
 私たちはまるで何事もなかったかのようにその場を立ち去り、私の急な思いつきによって中断されたアフタヌーンティーのなごやかな時間を取り戻すために、今度はアメリカ風のカフェに向かった。
 彼女は何か甘ったるい飲み物を注文した。大人の私は苦いコーヒーを口にして、つい今しがたのさらに苦い思い出には言及せずに、陽気に日常の出来事を語る女神のかわいらしい仕草や口調に心を傾けた。同時に傾きかけた太陽の位置から、もうじき彼女にお別れをする時刻が迫っていることを、私はせつない思いで知らされるのだった。

追伸 : 女神様、私を相手に、美味なる高級な紅茶を味わう、ゆったりとした時を過ごそうというあなたの計画に対して、私は突然のプランで、その午後をめちゃくちゃにしてしまってごめんなさい。そして読者の皆様、素敵な制服のデパートや百貨店を発見したら、是非ともすぐに!お知らせください!(まだあきらめてない!!)

| | コメント (5) | トラックバック (0)

« 2006年8月 | トップページ | 2006年10月 »