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2006/02/03

なんという愛!

         「ライオンとオリックス・掟を超えた親子」

lion1  2002年に新聞等で報道されたこの衝撃的なニュースを、ご記憶の方も多いのではないでしょうか。なぜ今頃?と思われそうですね。実は1月29日にアップした「アルルの女」の感想を書いていたとき、押入れにしまったはずの本を探していて、たまたまこの昔の新聞記事の切り抜きを見つけたのです。2002年3月4日の朝日新聞朝刊で、この信じ難い記事を読み、心を打たれた私は、この記事をハサミできれいに切り取って、日記に挟んで保存していたのでした。
 このニュースで受けた衝撃と感動が、私の胸にたちまち蘇り、鮮度の点では適当ではないにしろ、今一度、自分のブログで取り上げてみたくなりました。
 まずは新聞記事の内容を、かいつまんで紹介しましょう。

<弱肉強食超え、親子に>
 メスライオンとオリックス(ウシ科の草食動物)。食べる側と食べられる側という野生の掟を超えた「親子」がケニヤ中部で目撃された。
 寄り添い歩き、わきに寝る。ライオンは5~6歳のメスで、オリックスは生まれたばかりの子供。群れからはぐれ、ひとりぼっちでいたところを、このライオンに保護されたようだ。
 ライオンは「子」を連れ去ろうとした二頭のチーターを追い払った。だがある日、「親」が水を飲んでいた隙に、別のオスライオンが「子」をさらい、食べた。
 一緒にいた約10日の間、「母」はひたすら「子」を守り、何も口にしなかった。別れの後、数日は起き上がらず、悲しんでいるように見えたという。(2002年3月4日朝日新聞朝刊の記事を要約)

 当時、新聞を読んですぐにインターネットで検索し、調べたところ、このメスライオンは自分の子供を亡くしたばかりで、ひとりさまようオリックスに出会い、対象を失った母性をこの子に向けたのではないかと、専門家は推測しているようでした。
 幼いオリックスもライオンになつき、まるで本当の親子のように寄り添って歩き、眠るときも二頭はピッタリと身を寄せていたそうです。
 幼いオリックスにとって、これほど頼もしい保護者はいませんね。なにせ「母」は無敵のライオンなのですから。しかし皮肉にも、オリックスは別のライオンに食べられてしまい、自然の掟を超えた情愛に、幕切れが訪れました。
 遅かれ早かれこの二頭は別れる運命にあった、と専門家は言います。仮にこの時オリックスが別のライオンに捕らえられることがなかったとしても、メスライオンのほうは、オリックスが傍にいる以上狩ができず、飢え死にすることになっただろうと。
 
 群れからはぐれ、迷子になったオリックスの子供は、本当ならすぐに肉食動物の餌食になっていたでしょう。 けれどもライオンのお母さんに出会えたことで、わずか10日とはいえ、生き延びることができました。
 この10日間は長さではなく、運命に見放されたオリックスの子供が、やがて迎える死を前に、命をかけて自分を守ろうとする愛情に包まれた、尊い時間であったと私には思えます。
 自然の掟に逆らった愛には、その形態にふさわしい悲劇の結末が訪れました。しかし、空腹に耐え、ひたすらオリックスを守ろうとしたライオン、そしてその愛を信じて身を寄せた小さなオリックス、この類いまれな二頭の姿は、悲劇を超越し、私の胸に深く刻まれるものでした。
 

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コメント

アニメの世界だけだと思ったら、実際にこんな心温まる話があるんですね。
「嵐の夜に」でしたっけ?最近の映画で同じような話をテーマにしたアニメが話題になってますね。

10日間この子を守る為、何も口にしなかったというのはすごいですね。
食べられてしまったと言うのは大変残念ですが、どの道餓死すれば、同じ運命ですからね。

ホント素晴らしい話題をあるがとうございます。

投稿: Diane | 2006/02/04 00:27

とてもいい話ですね><。
TVでもたまに特集で動物の子供の成長とか、
弱肉強食の中での生態とかやってるけど、どうもあのような番組を見るのが
苦手なんです。真剣になってしまって、子供が敵に捕まったりしたものなら
号泣して気分が落ち込んでしまうんです・・・。
もちろん映画もそう・・・“動物物=泣ける”なので、避けてしまいます。
今回の記事内容と写真見ただけで涙涙しそうになります。

投稿: nao | 2006/02/04 03:42

猛獣にも感情があって、弱肉強食の中にも愛情があるんだなぁって思います。
なんとも、うまく表現できないけど・・・
強いものが弱いものを食べる・・・食われる側で見たら可哀想になってしまうけど、
食う側も生きるために必死なんだろうと思ったりします。
それをも超える愛情・・・
人間の方がよっぽど酷い生き物なのかもしれませんね。

投稿: ダリル | 2006/02/04 20:34

私もよく似た話をテレビで見たことがあります。 やっぱり子供を亡くした雌ライオンが、迷子のオリックスを何日もフラフラになりながら守っていく話です。 私が見た話は、2頭とも飢え死にしそうになり、とうとうライオンは狩にでかけウサギを獲って帰るのですが、オリックスはいなくなっていて、悲しげに探し回るのです。でもオリックスは本当のお母さんに探し出されて、群れに戻っていたという話でした。 はじめライオンを怖がってただ震えるばかりのオリックスを、少しだけ離れて切なそうに見守るライオンの姿には本当に感動しました。 雨の日に、オリックスが凍えそうになるのを見て、たまりかねたライオンが思い切ってそばに行って寄り添って温めてあげると、オリックスもやっとライオンを信頼するのですが、それでライオンも狩にでる決心をしたようです。 
自然の掟を破ってまでも、子を守ろうとした雌ライオンの母性って、本当にすごいですよね・・・。
動物ってすごい!っていつも思います。 でも、私たち人間もただの動物ですよね・・・。

投稿: sala | 2006/02/05 06:26

>Diane様

「嵐の夜に」ってそういう内容だったんですか。
これを機に観てみようと思います。
Dianeさんはたしか、にゃんこが好きなんですよね。
小鳥の天敵ですが、私も猫が好きです。ネコ科のライオンも、よく見るとその動きなどは猫にそっくりですね。
私もやさしいライオンに愛されたいな~。


>nao

こんにちは!
愛犬たけぞうくんは元気にしてますか?
記事のライオンのような大きな愛で、
守ってあげてくださいね(笑)。
今年の桜花賞は京都であるそうですよ。
阪神は改装するんだって。
京都の桜花賞なんて、ピンときませんね。


>ダリルさん

いらっしゃいませ☆
節分の巻き寿司はおいしくいただけましたか?

シビアな弱肉強食の中で、こんな出来事もあるのかと、驚きます。
こんなライオンなら飼いたい!
でもエサ代が大変だろうな~(笑)。


>salaさん

コメントありがとうございます。
salaさんの観た番組のライオンはきっとこの記事のライオンですよ。
実はこのライオン、この事件の後にも別のオリックスを保護してるんです。
だからその話ではないかと。
きっと最初のオリックスが忘れられなかったんでしょうね。
オリックスの子供はライオンの耳にがぶりと噛みついて、じゃれてたそうです。
信じられない光景ですね・・・。


投稿: Pepite | 2006/02/05 09:52

Pepiteさん今晩は♪

このライオンとオリックスの話、記憶力の乏しい私ですが微かに覚えています。
最初ニュースか何かで見た時はかなり驚いたのは覚えてるのですが
その後一緒にいたオリックスの運命がどうしても思い出せなかったのでPepiteさんのブログを見てスッキリしました!
弱肉強食が当たり前の世界で少しの間でもこうゆう不思議な親子関係を続けてくれたのがなんとも言葉で表現できない思いです。

ブログの内容に関係ないのですが…
Pepiteさんのブログ見て思い出したことがまた一つ…
野生のエルザの本を半年ぐらい前に買っていてまだ最後まで読んでないことを(汗)
字が小さくて少し読むと疲れて途中まででした(^^;)
またちょっとづつ読みます(笑)

投稿: ファズ | 2006/02/05 23:42

>ファズさん

コメントありがとうございます。
小鳥の話題でないときでも、ファズさんがこうしてコメントを残してくれることに感激しています。
ファズさんのにぎやかなブログとは対照的に、
私のブログは人気薄で、niftyでも人気度ワースト10に数えられるのではないかと、みんなが言っております(笑)。
私の友達の愛鳥家もファズさんのページを楽しんでいるようですよ。
これからも愛鳥家の心をくすぐる更新を期待しています。

野生のエルザは、ライオンの物語ですね。私もまだ読んでいませんが、ファズさんより先に読み終えたらごめんなさい(笑)。
いよいよ今週は「小鳥を愛する私の悲劇・2」をアップします。この記事にはまだファズさんに話していない内容も含まれていますので、是非、ごらんになってください。
更新したらお知らせします。
ではまた♪

投稿: Pepite | 2006/02/06 00:29

こんばんわ(*^_^*)お久し振りです。
すごいですねΣ(@△@;)野生の世界では考えられない様な事があるんですね…何とも感動的で少し悲しいです。°·(>_<)·°。

お知らせですm(_ _)m遅くなりましたが(^_^;)私のブログ当分の間コメントできなくしてあります…1ヶ月程でまたコメントできるようにしますのでまたナイスコメントお待ちしております·笑

投稿: 仁子 | 2006/02/06 23:45

Pepiteさま
この度はワタクシのblog「でかい系ライフ。」にご訪問&
コメントをありがとうございました。
体格でも力でもでかいライオンが、小さく非力な
オリックスを保護するお話、感動いたしました。
dekakoもでかい心と体で包み込んであげられるよう
日々精進してまいりますわ

投稿: dekako | 2006/02/07 15:20

>仁子さん

お久しぶりです。
コンポが調子悪いんだって?
ならばA・・Xに買い換えたら?
はやくコメントできるようにしてくれー!!


>dekako様

ようこそお越しくださいました♪
いつも「でかい系ライフ」を楽しく読ませていただいております。
あまりのおもしろさに、すっかり「でかい系」にはまってしまいましたわ。
この記事をある意味「でかい系」事件としてとらえるdekako様の徹底ぶりに、感嘆いたしております(笑)。
これからも遊びに行きますので、どうぞよろしく♪♪

投稿: Pepite | 2006/02/08 10:08

ライオンとオリックスの話、私も新聞記事を切り抜いていたのですが、失くしてしまって、もう一度読みたいと思っていたところでした。ありがとう。ところで私も鳥好きで、一羽の合鴨と小さなヒナの時からずっと一緒に暮らしたことがあります。彼女はとても繊細な女の子に成長し、ある日、犬に嚇かされた後一日中、涙をポタポタ落しながら黙って泣きました。落ちた涙が地面に吸いこまれていくのを見ながら、私は懸命に彼女を慰めました。鴨も涙を流す、ということを初めて知りました。泣いている彼女の姿を見ていると読書しながら泣いている小さな自分の姿が浮びました。最初に泣いたのは、絵本「フランダースの犬」でした。

投稿: ROSE | 2006/02/15 17:32

ROSE様

ようこそお越しくださいました。
美的なコメント、ありがとうございます。
ライオンとオリックスの話、ROSEさんも新聞記事を
切り抜いていたんですか。
私も当時すごい衝撃を受けて、感動しました。
お役に立ててよかったです。
きれいな写真を載せられなかったのは残念ですが、
一応二頭の姿は確認できるということで、ご了承ください(笑)。

合鴨と暮らしてたなんて、うらやましいですね。
私はもうとにかく鳥が好きで、バードウォッチングばかりしています。
涙を流す合鴨の女の子を想像すると、胸が張り裂けそうですよ。
ROSEさんは美しい文章を書きますね。
美的な感性を持つ方は大歓迎なので、
これからも是非、遊びにいらしてください。
お待ちしています。

投稿: Pepite | 2006/02/15 21:55

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