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2006/01/20

Pepiteの美的な日々:おせっかいな患者

 いつもは流行に乗り遅れがちな私だが、インフルエンザにだけはなぜか敏感に反応するらしい。今年も只今大流行中のA型ウイルスに見事感染し、39度5分の高熱にうなされ、大嫌いな病院に行く羽目になった。
 こんなとき、私が行くのは近所の○○○医院。ここは看護士の美人率0%のお寒い病院。もっと症状に余裕があるときなら決して選びはしないだろう。しかし高熱でめまいがする私にとって、もはやそんなことを言っている場合ではなかった。

 検査によって、インフルエンザの感染が確認された。私を診察してくれた医師は、白髪混じりの豊かな髪をした、まさにロマンスグレーの好男子だった。紳士的な物腰、思いやりのある言葉、私の額に手をあてて、「ほんとに熱いね、お湯でも沸かせそうだ」と言って笑ったときの少年のような瑞々しい表情。ああ、なんてかっこいいの~!と今の私が思うにしろ、その時は、これまた、それどころではなかった。

 点滴をうけることになった私が、ごっつい看護士に導かれて入った部屋は、点滴のための横幅の狭いベッドが並んだスペースと、看護士が書類を作成したり、あるいはなんらかの検査をするためのスペースとに二分されていた。そして建物の構造上そうなってしまったのだろうが、点滴の針を腕に刺して横たわる患者には、看護士の作業場が、太すぎる柱に邪魔されて、ほとんど見えない状態だった。もちろん看護士の側からも、柱を回ってこなければ、患者の様子を確認することはできないわけだ。
 なのに、不美人の看護士たちは、点滴を打つ患者には全然関心を示さない。「さあ、横になってください、どちらの腕がいいですか?わかりました、じゃあ右腕に。ちょっとチクリとしますよ」といって針を打ち込んで点滴が問題なくはじまったことを確認するやいなや、そそくさと看護士溜り(作業場)に引っ込んで、姿を見せなくなるのである。

 私がその部屋に入ったときには、すでに3名が点滴をうけていた。入り口から見て一番手前のベッドには老婦人、その隣には肌色の浅黒い屈強な肉体をした男性、そして空きベッドをひとつ挟んで、蒼ざめた顔色の不健康そうな若い男の子。
 私が寝かされたのは対照的な男性に挟まれた空きベッドだった。右隣は生きているかどうかさえ疑わしい蒼ざめた男、左にはいびきをかいて寝入っている屈強な男、そしてその向こうには老婦人。点滴のチューブをつけて横たわった私は、あまりの高熱に頭がくらくらし、鼻が詰まっていたため息苦しく、すっかり弱りきっていた。
 だが、私はここでゆっくり休むわけにはいかなかった。私の腕に針を刺した看護士が去ってから少しして、老婦人が声をあげた。「すみませーん、看護婦さ~ん」と、柱の向こうにいる看護士を呼ぼうとしていたが、その弱々しい声では届くはずもなかった。「看護婦さ~ん、点滴が終わりましたあ」ともう一度呼んだが効果は同じ。老婦人は焦っているように見えた。私は点滴のことなどまるで無知だが、液がなくなっても針を刺したままにしておくと、何か悪い結果になるのではないかと、その老婦人の態度から想像した。ここは若い私がなんとかしなければと思い、全身の力を振り絞って(39.5度の熱があったことを忘れないでいただきたい)「すみませ~ん!点滴終わりですっ!」と大声で呼んだ。
 ハイハイ、と看護士はすぐに現れ、おばあさんを病室から解放すると忙しそうにまた去って行った。ふと隣のいびきをかいて眠っている男性のほうを見ると、点滴の液体を入れたポリ容器の中身はそれほど残っていない。おそらくあと5~6分で終わるのではないかと気になた。ぐっすり眠っている彼がそれに気付かないとしたら・・・・私は目を閉じればそのまま深い眠りにおちてゆきそうなくらいにくたびれていたが、そんなことから、懸命に目を開けて、彼の点滴のポリ容器を見つめ続けた。そしてそれが空になったのを見届けると、またしても力の限りの声で、奥に潜んだ看護士を呼んだ。
 残るは一人。生きているのかどうかさえ疑わしい右隣の男の子。眠っているいないの問題ではない、生きてるか死んでるかといった具合なのだから、放っておくわけにはいかない。顔は燃えるように熱く、体は悪寒にふるえるという最悪のコンディションで、私はがんばり続けた。眠ってしまわないように空いた片手で頬を叩き、彼の点滴のポリ容器から最後の一滴がチューブに流れたことを確認し、看護士を呼んだ。

 生存すら疑わしかった男の子が、わりとしっかりした足取りで病室を去った後、自分に課せられた役割を終えてほっとした私は、まどろみはじめた。これでようやくゆっくり休めると思ったときに、今度は私の点滴が終わりを迎えようとしていた。
 私は最後の力を振り絞って、声を限りに叫んだ・・・・・・。

 

 ○○○医院にお願いしたい。せめて、呼び出しブザーつけてよ!

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コメント

点滴は、終わってからほっといても大丈夫みたいよ。
少しは逆流気味になるけど、ある一定のとこに来たら止まってた。
それよりも、ビビったのが点滴中にトイレに行った時。
まだ、液が血管に流れてるのに動くとじゃんじゃん血が逆流し始めちゃって…
トイレの中で腕を上に上げてみたり、下に下げてみたり。
急いでベッドに戻った次第です。

看護師さん、大丈夫よぉ~~と平気な顔でした。
病院行き慣れてないとこういうことで焦ってしまうよねぇ。
普段、冷静沈着なpepiteちゃんの焦った姿見たかったわwww
でも、高熱での頑張り、ご苦労さんです。
うちも人のこと言えないけど、早めに病院は行った方が良さそうね。
うちも、早く治しますっ!!

投稿: ダリル | 2006/01/20 23:04

pepiteさんおはようございます♪

インフルエンザどうですか?もうだいぶんとマシになりましたか?
39度5分の高熱しんどかったに病院で頑張ったんですね!お疲れ様です
呼び出しブザーがないの珍しいですね。
点滴とかする部屋ならどこの病院もあると思ってました(^^;)
私まだお肌ピチピチの16歳の時に車にひかれたことがあって
1ヶ月ちょっと入院したことがあるんですよ。
その時は毎日、朝と夜点滴をされてたので私の腕は針の穴のあとだらけになったことがあります。
知らない人が見たら薬物中毒者みたいで嫌でした(汗)
アッ!話がずれちゃいましたね。ゴメンナサイね。
良い想い出ではないけどつい点滴が懐かしくて思えて(^^;)

投稿: ファズ | 2006/01/21 10:13

>ダリルさん

ええっ、そうなんだ!点滴終わって、針刺したままでも、問題ないってことか!!
記事のおばあさんがすごく慌てた様子だったので、
そのままにしておくと何かやばいことになるのかなって、勝手に想像したんだよ。
それじゃあ、私のがんばりは一体何のため??
あれは無駄だったのね~。
まあ、そんなことも想定して「おせっかいな患者」っていうタイトルにしたんだけど、
やっぱりただのおせっかいだったとは(笑)!
ダリルさんもはやく病院で診てもらってくださいっ!!!


>ファズさん

ファズさんが点滴のエキスパート(?)だったとは、!
点滴経験豊富なファズさんから見れば、私の記事はアホらしい内容だったはず(笑)。
普通は呼び出しブザーがあるんですか?私はめったに病院に行かないので、
医療の知識は全然ないんです。
動物病院にはカピの定期健診などでちょくちょく行きますけどね☆
かつては16歳のピチピチだったファズさん!先日ブログで19歳に間違われそうになってましたね!たとえ勘違いでも、若返るのは嬉しいことですね。
もう車に轢かれないように、気をつけてください♪

投稿: Pepite | 2006/01/21 16:48

あはは~私なら空になったらどうなるのかな?と観察します。でも空でも別に問題はないはずです。
点滴が漏れるとやばいですが。
あれ痛いですよね。
何度か経験があります。
血管からもれると紫になって腫れます・・。

もう具合はよくなったのでしょうか?
今年2度目ですか?
気をつけてくださいね。
一度も風邪を引いていないDianeより

投稿: Diane | 2006/01/21 20:21

Diane様

もうすっかりよくなりましたよ♪
食欲も戻り、お酒もおいしくいただいております。
関東は雪ですごいことになってますね。
今競馬中継で中山のレースを観てますが、
真っ白な雪景色。まるで北海道。
この厳しい寒さは来月も続くということですから、
くれぐれも私のようにならぬよう、
用心してください。

投稿: Pepite | 2006/01/22 10:22

病状がよくなったようで良かったです♪
Pepiteさんのそういう優しさ?お節介?な所、
私は好きだけどな♪PepiteさんらしくてGood><b
ちょっと暖かくなったと思ったら、さきほど外は雪が降ってかなり寒かったです。
中山競馬場すごい雪で驚きました。昨日は中止だったとか・・・。Pepiteさんまだまだ
油断は禁物だよ!お酒はほどほどにしようね^^

投稿: nao | 2006/01/23 00:12

naoへ

どうもご心配かけました。
今は元気一杯ですよ。
今日は昼からサイクリングに出掛けて、
さっき帰ってきたところです。
久しぶりに体を動かして気分爽快です。
naoもジムがんばってる?

投稿: Pepite | 2006/01/23 16:57

Pepiteさんらしいですね(´з`)でもインフルエンザなのに回りの方達への気遣いを忘れない所がすばらしいです…笑
早く良くなって下さい(^з^)-☆Chu!!
コメントありがとうございました(^o^)/今日からまたアップどんどんしていきますΨ(`∀゜)Ψ

投稿: 仁子 | 2006/01/29 12:31

仁子さんへ

私のインフルエンザなどは毎年恒例の行事のようなもので、大したことはありません。
それよりも仁子のことが心配です。
元気を出して、悲しみを乗り越えてください。
愛するムッシュのためにも。

投稿: Pepite | 2006/01/29 13:45

少し前の記事ですが、コメントさせていただきますわ!
数年前にインフルエンザにかかってからというもの
毎年予防接種を受けておりますの。
普通の風邪で病院にいく時にも、少々心にゆとりが
できましてよ!
次シーズンは一度おためしあれ~ うふふ

投稿: dekako | 2006/02/08 19:18

dekako様

アドヴァイス、ありがとうございます☆
これからはわたくしも、
予防接種をうけることにしますわ。

dekako様の口調を真似るのって、
結構大変(汗)
でもおもしろいんで、いつかはマスターしたいな。

投稿: Pepite | 2006/02/08 22:15

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