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2005/11/04

オフィーリア(ウィリアム・シェイクスピア著「ハムレット」)

「時空を超える悲劇の美」

Shadow 19世紀末のヨーロッパでは、シェイクスピア劇「ハムレット」に登場する少女オフィーリアの悲劇の死の場面が、多くの画家によって描かれました。
 オフィーリアは、愛するハムレットの手により父が非業の死をとげたことを知り、心を狂わせます。父の葬式の花だといって宮廷の貴婦人たちに花をくばったり、恋の歌や死の歌、あるいはまったく意味のわからない歌をうたいながら、歩き回ったりしました。
 そして小川のほとりでのこと。一本の柳の木が斜めに生えていて、その葉を水面にうつしていました。ある日オフィーリアが、雛菊といら草で作った花輪を柳の枝にかけようとしてよじ登ったところ、枝が折れ、美しいオフィーリアも花輪も、そしてその他に彼女が集めた花々も、まっさかさまに水の中に落ちてしまいました。

 「水に漂う少女のなきがら、それを埋める花々、深く静まり返った世界を覆うのは、悲劇的でありながらも甘美な雰囲気」(本田和子著「消え行く少女たち」)と言われるように、オフィーリアの死は、画家たちの美意識に強く訴えたようです。

 若く美しいままに生涯を終える少女、いうなれば<永遠の美少女>への憧れは、世界中のあちこちで古くから語り継がれ、あるいは文書に残されています。美を永遠にとどめておきたいという願望は、時間への挑戦です。これまで多くの芸術家や夢想家たちが、不滅の時間に挑戦し、そのかけらを勝ち取ってきました。かくして悲劇の美少女は、永遠に美少女であり続けるという特権を身に纏ったのです。

        (映像は専属モデルMimiのグラフィック「shadow」より/Pepite-work)

 

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コメント

mimiの写真、もっと大きくのせてください
出し惜しみですか~
ちゃんとコピーできないように細工しているのは
さすがPEPITE WORK

ヨーロッパ映画を観る会
次も楽しみにしてます
フランス語の演説
かっこよかったです
阿部さんの目に魅せられました
ホント変な人だけど
かっこいいです

投稿: ベル | 2005/11/09 23:56

こんにちわ、阿部さん。
The GothicのDianeです。

オフィーリアの絵画といえば、やはりラファエロ前派の画家達の絵が次々と思い浮かびます。
J.エベレット・ミレーの描く、水に漂うオィーリア、J・ウイリアム・ウオーターハウスの描く、うつろな目で木に腰掛け、髪をいじるオフィーリア、アーサー・ヒューズの暗い表情で、草花を摘んでいるオフィーリア・・・・ETC。

どれも哀しく、美しく、儚げな甘美さが漂います。
ラファエロ前派の画家達の描く、神話や物語の世界は、私を虜にしてやみません。

昔、ロンドンのテートギャラリーで、ウイリアム・ウオーターハウスの「The Lady of shalot」を見たとき、10分位動けなかった覚えがあります。
この美術館は私の一番のお気に入りです。

投稿: Diane | 2005/12/07 19:55

あこがれのDiane様!お慕いしています・・・。

投稿: Pepite | 2005/12/16 18:01

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